森下裕介
大阪市東住吉区で1995年、女児(当時11)が焼死した火災を巡り、殺人罪などで無期懲役が確定後、再審無罪となった母親の青木恵子さん(58)が国と大阪府に損害賠償を求めた訴訟の控訴審が14日、大阪高裁で始まった。青木さんは「国、大阪府が間違いを認め、二度と冤罪(えんざい)を生み出さないと言ってもらえれば、心の傷が少しは癒やされます」と意見陳述した。
今年3月の一審・大阪地裁判決は、警察官が青木さんに対し、長女を救えなかったと責め立て、体調に配慮せずに長時間取り調べたとして捜査を違法と認め、府に約1200万円の賠償を命じた。一方、検察が起訴した段階では有罪の疑いがあったとして、国の賠償責任は認めなかった。
控訴審で青木さんは国と府に計2千万円の賠償を請求。国と府は請求を棄却するよう求めた。
青木さんは保険金目的で自宅に放火して娘を殺害したとして逮捕・起訴され、2006年に殺人罪などで無期懲役が確定した。青木さんの再審請求を受け、大阪地裁は12年、火災が自然発火だった可能性があるとして再審開始を決定。大阪高裁も支持した。16年の大阪地裁の再審で無罪判決を受け、確定した。(森下裕介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル